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2010-06-22 [あまり美しくはない風景]

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赤や白の暖簾(のれん)を下げている街の中華料理店というのは、気軽に入って食事ができるから
ありがたい。だから昼飯(ひるめし)時に街を歩いていると、大概はそのような店に入り、決まって
定食を注文する。これまで一番多かったのはニラレバ炒めライス、第2位が肉野菜炒めライス
そして第3位が野菜炒めライスであった。

実は中華料理店の大半は、肉野菜炒めライスと野菜炒めライスとを分けて品書きにかいてある。
違いは豚肉が多いか少ないかの差だけで、味と盛りにはそう大きな違いはない。
我が輩がいつも肉の多い方を頼むのは、食い気盛んな少年時代、肉はどこの子供でも憧れの的で
ライスカレーに入っている肉の小片をめぐって兄弟喧嘩までしていた友人もいたほどの時代を経験
しているからなのだろう。

先日、東京・神田の神保町に行った時、ちょうど昼飯時であったので小さな中華料理屋に入って
いつものように肉野菜炒めライスを注文した。そして、近くにあったスポーツ新聞を読みながら待っていると、ジャジャ~ン! 出てきました、やってきました肉野菜炒めがサービスよく盛られ、その脇に
丼飯と味噌汁(中華スープでないところが嬉しい)、小皿に白菜の塩漬け(ザーサイでないところも
ユニーク)が付いている。

その肉野菜炒めを見ると、脂肪身(あぶらみ)がかなり付いていた豚肉が全体的に多く
野菜はキャベツ、ニンジン、モヤシ、シイタケ、タケノコであった。
それではいただきますと、味噌汁をズズーッとすすり、軽くご飯をひと口食べた。噛むと飯は潰れて
上品な甘味が静に湧き出てくる。次にいきなり豚肉に行かず、野菜を箸でつまんで口に入れて
噛むと、モヤシのシャキシャキ、キョベツのフワフワ、ニンジンのホコホコ、タケノコのパリパリとした
歯応えの中から、野菜特有の水っぽさのある甘味や素朴さのあるうま味などがじゅんわりと出て
くるのであった。

そして次に、ピロロンとした脂肪身を持った豚肉を一枚とって食べた。それを噛みはじめると
とてもうま味の濃いエキスが正肉身から、ペナペナとしたコクが脂肪身から湧き出してきて、絶妙であった。

こうして野菜と豚肉の味をじっくり味わってから、肉野菜炒めにテーブル胡椒を多めに撒き
上から醤油を掛けて飯と共に食べはじめたのであった。すると今度は、口の中で飯の上品な甘味に
肉の濃いうま味とコク、野菜からの微かな甘味とうま味などが重なり、そこに醤油のうま塩っぱさと
胡椒のピリカラさも加わって、あとはもう夢中で肉野菜炒めと飯とを食べたのであった。
最後に、中華皿の底にほんの少し溜まっていた野菜炒めの汁までぐびっと飲んで
ああうまかった、また来るよと店を出た。


日経6月8日付け 生活面・・ 「食あれば楽あり」。 あぶら身のコク絶妙 から。。 
   発酵学者・文筆家 小泉武夫氏。




小泉さん、あなたの話は・・ いつもいつも・・ 素晴らしい! 私はあなたの大ファンです
ピロロンとした脂肪身とか・・ じゅんわりとか・・ フワフワ・・ ぐびっ・・ 等々・・
まるでなんでもないような事なのに・・ そのシズル感たっぷりの言葉に私はいつも打たれてしまいます。。


(笑)


月に2度ほど氏の記事が掲載されるのですが・・ いつもまだかまだかと待ち焦がれてます
「若狭のカレイ」は傑作でした
デパ地下の物産展で売られていた若狭のカレイとの出逢いから買って帰って自宅で調理して食するまでのお話
シズル語(擬音)と悶絶描写満載のお話でした(笑)。。


残念B組も擬音をよく発しますが、氏ほどではありません(爆)
小泉さん、あなた、O型でしょ?
シズル語と擬音は、残念B組の耳に心地よいとても甘美なメロディになって届きます


行きたいいきたい、、東京へ、、神保町へ、、中華料理店へ、、
ずずっとぐびっと定食を食べたぁ~~~い(^.^)。。


D50 魚


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コメント 2

マリエ

私も食べた~ぁいですy(^ヮ^)y やっぱり日本人って中華料理好きですよね。定食、ばっちりです。野菜がたっぷりがいいです。お江戸は遠い~よ~
by マリエ (2010-06-22 11:31) 

つなみ

美味しい野菜炒めが食べたい・・^^
by つなみ (2010-06-22 14:10) 

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