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2012-11-24 [あまり美しくはない風景]

20121124-1.jpg

日没とともに、私の部屋は「暗室」になります。暗室とは写真をプリントする部屋のことです。光に反応する特殊な
紙を使うため、日のあるうちはこの作業ができません。夜でも街灯のわずかな光を避けるため、窓には布を張って
います。

ドラマや映画で見たことがある方もいるのではないでしょうか?赤い光の中で、液体に紙を沈めると像が浮き上がって
きます。そうしてできた写真をひもにつるして乾かします。ドラマなどでは淡々とした作業のように映ることがしばしば
ですが、実際は一喜一憂の激しい作業です。

光を調整しながら紙に画像を焼き付けます。光の具合で、出来上がる写真が全く別なものになるのです。

それは1秒、0.1秒の世界です。光を当てすぎると写真は真っ黒になり、光が足りないと白過ぎてしまいます。適切な
秒数を探りながら、白と黒の濃淡を出します。

面白いのは薬液に入れるまで、その出来が分からないことです。後から絵の具をつけ加えるようなことができないので
出来上がりを想像しながら秒数を定めます。薬液の中で徐々に浮かび上がる像は、とても刺激的にものです。

写真となった風景と、ここで初めて出会うのです。それが頭の中で描いていたものと一致した時には、踊り狂うほど
興奮してしまいます。

撮影する時は、何も考えずに歩き、そこで出会った人や事柄、風景を撮ります。それに対して暗室での作業はすべて
内側の出来事です。暗闇の中で出くわすのは、自分自身にほかありません。

私がモノクロフィルムで撮影を続けているのは、暗室の作業が好きだからです。私にとって暗室での時間は
とても大切なものなのです。

2012・10・18日付け 地元紙・石巻河北 つつじ野・「暗室の時間」 阿部あず子・フォトグラファー
スクラップしていた新聞の記事・・ 溜まってたきので少し放出。。。^^

D300 シグマ50-500 高専祭 こうして人の記事に自分の写真を重ねると・・・
いやらしい事に・・ それっぽい・・ フォトグラファーに見えてしまいます・・。。 あかんあかん!♪(笑)。。
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コメント 1

ジョルノ飛曹長

暗室でのリアルな現像、楽しいですよねー。
あの酢酸の香りも懐かしい、青春の香りです。
高専の2年生になると、カラー現像になり、においも変わってきます。
ナツメグっぽい臭いになるんですよ。(^ ^)
by ジョルノ飛曹長 (2012-11-29 15:45) 

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